ImageFlux LiveStreaming

企業向けライブ配信サービス

ライブ配信は、リアルタイムに映像や音声を配信することで、視聴者とのコミュニケーションを活発化させたり、臨場感のあるコンテンツを届けたりできる手段です。企業向けでは、大規模なものであればイベント配信、バーチャル株主総会など、小規模や個別配信であればオンラインミーティングツール、社内イベント配信、ロボットや重機の遠隔操作など、さまざまな場面で活用されています。

ライブ配信とは?

ライブ配信とは、撮影した映像をリアルタイムストリーミングサーバーへ送ることで、サーバーへアクセスしたユーザーが、その場の様子をリアルタイムで見られるようにする配信手法のことを指します。
テレビの生放送に近い仕組みで、スマートフォンやアプリを使って手軽に始められるため、ビジネスから個人利用まで幅広く活用されています。
リアルタイムでの配信は視聴者との一体感を生み出せるため、自宅で過ごす時間が増えたコロナ禍において、ライブ配信の需要がますます高まりました。アフターコロナにおいても動画配信の習慣が定着し、今後も、さまざまな場面で活用が進んでいくことが予想される注目のコンテンツ配信方法だといえるでしょう。

オンデマンド配信とは?

オンデマンド配信とは、あらかじめ収録・編集した動画コンテンツをサーバーにアップロードし、視聴者が好きなタイミングでアクセスして視聴できる配信方法のことを指します。ライブ配信のようにリアルタイム性はありませんが、時間や場所を選ばずにコンテンツを視聴できるのが大きな特徴です。
YouTubeに代表されるように、一般的にオンデマンド型の動画配信サービスが主流となっています。ライブ配信とオンデマンド配信はそれぞれ異なる特性を持っているため、コンテンツや視聴者のニーズに合わせて使い分けることが重要です。

ライブ配信とオンデマンド配信の違い Live streaming and On-demand streaming

動画配信は、リアルタイムの映像のライブ配信と制作した動画を見るためのオンデマンド配信に分かれます。それぞれのメリットとデメリットをまとめました。

ライブ配信 オンデマンド配信
メリット
  • リアルタイムで映像を共有できるため、臨場感や一体感を味わえる
  • 配信者と視聴者の双方向のコミュニケーションが可能
  • スマートフォンやアプリを使って手軽に始められる
  • オンデマンド配信にはない体験価値を提供できる
  • 好きな時間に視聴できる
  • 機材トラブルで中断することが少ない
  • 24時間/365日配信できる
  • 高品質につくり込んだコンテンツを配信できる
デメリット
  • リアルタイム配信特有のトラブルが起こりやすい
  • 編集ができないため、巻き戻しや早送りができない
  • 視聴を逃した人へのフォローが必要
  • 編集に手間がかかる
  • コミュニケーションが双方向ではない
  • いつでも見られるので視聴が後回しになりがち

動画配信方式 Video distribution method

動画配信を実現するプロトコルや技術には、以下のようなものがあります。

WebRTC HLS
特徴
  • ウェブブラウザからリアルタイム通信を可能にするオープンソース技術
  • 専用のソフトウェアやプラグインを必要とせず、リアルタイムにコミュニケーションが可能
  • 遅延やデータロスを最小限に抑えることができる
  • Appleが開発したHTTPベースのプロトコル
  • アダプティブビットレート対応
  • 暗号化機能を使うことで限定配信も可能
用途
  • 主にライブ配信に向いており、リアルタイムにデータをやり取りできる
  • 双方向での通信を実現
  • ライブ配信とオンデマンド配信に対応
  • 片方向で数万人規模の大規模な配信を実現
主な利用
シーン
  • オンラインミーティングツール
  • ロボットや重機などの遠隔操作
  • オンライン診療
  • ポストプロダクション業務などの業務効率化
  • ライブコマース
  • バーチャル株主総会
  • イベント配信
  • オンラインゲーム配信
  • ファンコミュニケーション

WebRTC

WebRTC(Web Real-Time Communication)とは、ブラウザ間でリアルタイムの音声、映像、データ通信を可能にするオープンソースの技術です。特別なプラグインやソフトウェアをインストールすることなく、ウェブブラウザだけでビデオ通話やファイル共有がおこなえます。Googleが開発を主導し、W3CとIETFによって標準化が進められています。WebRTCはP2P(Peer to Peer)通信を基盤としており、直接的な通信路を確立することで、遅延やデータロスを最小限に抑えることが可能です。
また、セキュリティ面でも優れており、通信内容はすべて暗号化されます。これらの特徴により、WebRTCは多くのウェブサービスで活用されています。

WebRTCの仕組み Web Real-Time Communication

WebRTCは、リアルタイムで比較的大きなデータを送受信できます。これは、ビデオチャットやファイル共有など、リアルタイム性が求められる通信において非常に有効です。しかし、このような通信を可能にするためには、サーバーとの組み合わせが必要です。具体的には、シグナリングサーバー、STUNサーバー、TURNサーバーなどが関与します。

WebRTCの仕組み

これらのサーバーは、通信の確立やデータのルーティング、ファイアウォールの越え方など、通信の安定性や効率性を保つために必要な役割を果たします。WebRTC自体はプロトコルの一つであり、これらのサーバーと組み合わせることで初めて、実際の通信環境で利用可能となるのです。これらの仕組みを理解することで、WebRTCの可能性をより深く理解し、効果的に利用することができます。

WebRTCの配信サーバー

WebRTCで利用されるサーバーは「シグナリングサーバー」「STUNサーバー」「TURNサーバー」「SFUサーバー」などが存在します。それぞれの役割や機能、利用シーンを理解することで、より効率的な通信環境の構築が可能になります。また、これらの技術は互いに連携し、一緒に働くことでリアルタイム通信を実現しています。
それぞれの技術がどのように働いているかを知ることで、通信の安定性や品質を向上させるための手段を見つけることができます。

シグナリングサーバー Signaling Server

シグナリングサーバー

インターネット越しに2つのデバイス間でWebRTC接続を確立するためには、シグナリングサーバーが必要です。シグナリングサーバーは、まず初めに通信を開始するためのハンドシェイクをおこなう役割を果たします。

ハンドシェイクは、デバイス間の接続情報を交換するプロセスであり、WebRTCが正確に機能するためには欠かせないステップです。さらに、シグナリングサーバーは、通信のセッションを管理し、通信の開始や終了、通信パラメータの変更などを制御します。また、シグナリングサーバーは、メディアデータの送受信そのものはおこなわず、あくまでコントロール情報のやり取りを担当します。
これらの役割を通じて、シグナリングサーバーはWebRTC通信の安定性と効率性を確保しています。

STUNサーバー STUN Server

STUNサーバー

STUNサーバーの重要性を理解するためには、基本的な機能から把握することが必要です。STUNサーバーは、私たちがインターネットに接続する際に、外部ネットワークから見た自分のIPアドレスを教える役割を果たします。
これは、自分のPCがどのようにほかのネットワークに見えるかを知るために不可欠な情報です。その情報をもとに、自分のPCのプライベートIPアドレスと比較することで、NAT(ネットワークアドレス変換)によるアドレス変換が必要かどうかを判断します。

先述したように複数のデバイスが同じグローバルIPアドレスを共有できるのはNATのおかげです。しかし、毎回この変換をおこなっていると通信が複雑になるため、STUNサーバーの役割は非常に重要となります。このように、STUNサーバーはインターネット通信の裏側で働き、スムーズな通信を支えているのです。

TURNサーバー TURN Server

TURNサーバー

TURNサーバーは、WebRTCの通信を補助する重要な役割を果たします。その主な目的は、通信が直接できない状況下でのリレー機能を提供することです。これは、NATやファイアウォールの制約により、P2P通信が困難な場合とくに有用です。Firewallはセキュリティを保つための重要な要素であり、不正なアクセスを防ぐ役割を果たしています。しかし、Firewallがあることで、P2Pのような直接的な通信が難しくなる場合もあります。
そこで登場するのが「TURNサーバー」です。TURNサーバーは、Firewallをセキュアに超えることができる特別な仕組みを持っています。これにより、Firewallの存在を感じさせないような、スムーズな通信を実現します。

TURNサーバーは、通信の中継地点として機能し、受信したデータを適切な端末に転送します。このように、TURNサーバーは、Firewallを超えて通信をするための重要な役割を担っているのです。

SFUサーバー SFU Server

SFUは、Selective Forwarding Unitの略で、WebRTCにおける重要な役割を果たします。SFUサーバーの最大の特徴は、複数のクライアント間でのメディアデータの中継をおこない、効率的な通信環境を構築することです。
SFUは各クライアントから送られてきたデータを、ほかのすべてのクライアントに送信します。これにより、多点接続ができ、大規模なビデオ会議などでもスムーズな通信が可能です。また、SFUサーバーは、送信されるデータの品質を調整する役割も担っています。
WebRTCとSFUはセットで使われることが多く、リアルタイムコミュニケーションの高品質化に寄与しています。

TURNサーバー

SFUサーバーは、音声や映像の通信をP2P(Peer to Peer)ではなく、サーバー経由でおこない、通信の安定性や品質を保つために重要な役割を果たしています。P2PとSFUの大きな違いは、通信をサーバーを経由するかしないか、という点です。1対1の通信であればP2Pでもいいですが、多人数が参加する配信などではSFUサーバーを経由したほうがスムーズです。SFUサーバーを利用することで、大規模な通信でも安定した接続を維持できます。

WebRTCを使った低遅延のライブ配信システム

「システム開発の経験やリソースがなく、開発からお任せしたい」といった方は、開発相談も承っておりますのでお気軽にご相談ください。

HLS(HTTP Live Streaming)

HLSとは、HTTP Live Streamingの略で、動画をストリーミング配信するためのApple社が開発した規格です。インターネット上で動画を配信する際に、視聴者のネットワーク状況に合わせて最適な品質の動画を提供できます。HLSは、ライブ配信だけでなく、録画された動画の配信(オンデマンド配信)にも使用されます。動画を小さなチャンク(数秒間の動画データ)に分割し、それぞれを別々に配信します。具体的にはインデックスファイルとセグメントファイルで構成されており、視聴者は動画の途中で品質を変更することが可能です。そのため、ネットワークの混雑や視聴者のデバイス性能による影響を最小限に抑えることができるのです。また、HLSは広範なデバイスと互換性があり、さまざまな環境での視聴に対応しています。

HLSの動画ファイルの仕組み HTTP Live Streaming video files

HLSの動作の仕組みは、主に「インデックスファイル」と「セグメントファイル」という2種類のファイルによって成り立っています。ここからは2つのファイルの機能についてくわしく見ていきましょう。

HLSの動画ファイルの仕組み

セグメントファイル Segment File

セグメントファイルとは、動画や音声を数秒から数十秒の長さに分割したものです。HLSの動画配信システムにおいて、重要な役割を果たしています。

このセグメント化されたファイルは、インデックスファイルによって順番に再生され、視聴者にシームレスな動画体験を提供します。HLSでは、このセグメントファイルの生成と配信が非常に重要です。なぜなら、各セグメントは独立してストリーミングされ、それぞれが個別のURLを持ち、インデックスファイルによって順番に再生されます。この仕組みにより、視聴者のネットワーク状況に応じて最適な品質のセグメントを選択して配信することが可能となります。

セグメントファイルの生成と配信により、視聴者はネットワークの変動によるバッファリングや画質の低下を最小限に抑えられます。セグメントファイルは、HLSにおける動画配信の質を高めるための重要な役割を担っているのです。

インデックスファイル Index File

HLSの仕組みにおいて、インデックスファイルは非常に重要な役割を果たします。
インデックスファイルは、動画の再生に必要なすべてのセグメントファイルへのリンクをリスト化したものです。それぞれのセグメントファイルは、動画の一部分を構成しており、すべてのセグメントファイルで1つの動画を構成します。セグメントファイルがどの順番で再生されるべきかを指示する役割を果たすのがインデックスファイルです。

視聴者が動画を再生するとき、最初にインデックスファイルが読み込まれ、その指示に従ってセグメントファイルが順次再生されます。この仕組みにより、シームレスな動画視聴体験を実現するのです。
インデックスファイルの存在がなければ、スムーズに動画を再生することはできないでしょう。インデックスファイルは、HLSにおける動画配信の要となるのです。

HLSは遅延発生が課題

HLSには遅延が発生しやすいという課題があります。動画を小さなセグメントに分割して配信するため、1つのセグメントファイルがすべてダウンロードされるまで再生が開始されないためです。その結果、視聴される映像が実際のライブ映像よりも遅れてしまうことがあります。しかし、この問題を解決するためのさまざまな技術が存在します。
その1つが、セグメントの長さを短くすることでダウンロード時間を短縮し、遅延を軽減する方法です。また、WebRTCとHLSを組み合わせることで、比較的低遅延(5秒程度)でライブ配信が可能になる技術もあります。HLSの遅延問題は確かに存在しますが、それを解消するための工夫や技術も進化し続けているのです。

超低遅延で高品質なライブ配信

HLSを用いて超低遅延で高品質なライブ配信をしたい場合には、ライブ配信用のマネージドサービスを活用する方法があります。ライブ配信用のマネージドサービスとは、ストリーミングサーバーの構築などに関する専門的な知識がなくてもライブ配信のプラットフォームを実装できるものです。自前で一から実装するよりも設定や管理が容易で、トラフィックの増減に応じて自動的にスケーリングする機能を備えているため、視聴者数が急増した場合でも安定した配信が可能です。

ライブ配信用のマネージドサービス Managed Service for Live Streaming

ライブ配信は用途に応じてさまざまな方法があります。その中でライブ配信用のマネージドサービスを活用する方法をご紹介します。この方法は簡単に言うとPaaS(Platform as a Service)を利用することで、ストリーミングサーバーやAPIはマネージドサービスを利用し、アプリケーションは自分達で構築します。この方法でライブ配信をおこなうメリットはいくつかあります。

ライブ配信用のマネージドサービス

まず、WebRTC等と組み合わせることにより低遅延で配信できます。これはライブ配信において非常に重要で、視聴者とのコミュニケーションをスムーズにするために欠かせません。また、ビットレートなどは自由に指定できるため、配信側の機材次第で高品質な配信が可能です。これは、Youtube Liveなどのビットレートが決まっているプラットフォームでは自由度が低いと感じる方にとって、大きなメリットとなります。

さらに、ストリーミングサーバーの調達、構築、運用が不要のため、ストリーミングサーバーに関する専門的な知識がなくてもライブ配信が可能です。
また、商用利用や投げ銭の機能なども実装できます。Youtubeなどのプラットフォームでは、一部の利益がプラットフォーム側に配分されるため、決済手数料以外の利益を得られるという点で大きなメリットとなるでしょう。

ただし、デメリットとして、アプリの開発が必要になるため、ある程度の技術力が必要となることが挙げられます。しかし、その分自由度が高いため、自社のビジネスモデルに合わせた動画配信が可能となるのです。

WebRTCとの組み合わせ WebRTC with HLS

HLSを使ったライブ配信ができるマネージドサービスの利用は、とくに低遅延で大規模な配信を実現したいと考えている方にとって、魅力的な選択肢となります。
HLSはストリーミング技術の1つであり、WebRTCやCDN(Content Delivery Network)と組み合わせて利用することにより、低遅延かつ大規模な視聴者に対して動画配信をおこなうことができます。アダプティブビットレートの特性上、視聴者の通信環境やネットワーク環境の変動に応じて、柔軟に対応しながら安定した配信を可能にします。

WebRTCとの組み合わせ

HLSは幅広いデバイスでサポートされています。そのため、たとえば自社のサービスに新たにライブ配信の機能を取り込みたいといった場合も、HLSを活用してブラウザやWebアプリから簡単に大規模向けに配信できるサービスを構築することもできます。

配信方式と利用できるAPI一覧

ImageFlux Live StreamingはHLSとWebRTC両方に対応しており、ご利用用途に応じて片方向・双方向・大規模・コラボ配信など様々なケースに対応が可能です。

「やりたいこと」を「できる」に変える

さくらインターネットは新たなアイディアの創出に強い熱意と情熱を持って挑戦するお客様をはじめ、
私たちとつながりのあるすべての人たちのために、未来のある姿を思い描きながら
あらゆる”アプローチ”を”インターネット”を通じて提供します。

商号
さくらインターネット株式会社 (SAKURA internet Inc.)
代表取締役社長
田中 邦裕
所在地
  • 本社
    大阪府大阪市北区大深町6-38 グラングリーン大阪 北館 JAM BASE 3F
  • 東京支社
    東京都新宿区西新宿7-20-1住友不動産西新宿ビル 32F
  • 福岡オフィス
    福岡県福岡市中央区赤坂1-12-15 赤坂門プライムビル 7F
  • SAKURA innobase Okinawa
    沖縄県那覇市松山1丁目2番13号 長谷工那覇ビル1F
設立
1999年8月17日
上場証券取引所
東京証券取引所プライム市場(証券コード:3778)
資本金
112億8,316万円
従業員数
連結 755名 (2023年3月末)
主要事業
クラウドコンピューティングサービスなどの提供、IoT関連事業
データセンター運営

ImageFlux Live Streaming

ImageFlux Live Streamingとは、お客さま独自のライブ配信システムを、API/SDKを利用して素早く手軽に構築できるマネージドサービスです。配信基盤としてWebRTC SFU Soraを採用しており、WebRTCからHLSまで幅広い配信方式に対応しております。つくりたい配信サービスに適したAPIを使って、高速に開発を進めることができます。

ライブ配信エンジンサービス

ImageFlux LiveStreamingはライブ配信システムを手軽に構築できるマネージドサービスです。ライブ配信の最新技術について包括的に理解したい方に向けた資料です。