UXは、ユーザーが製品やサービスを利用する際の体験全体を指します。近年、UXの重要性がより一層高まっており、企業はユーザーにとって使いやすく満足度の高い体験を提供することが求められています。

本記事では、UXの概要や、UI、ユーザビリティとの違い、UXを向上させる方法や成功事例について詳しく解説します。

UXとは

UXとは、ユーザーエクスペリエンスの略称で、ユーザーが製品やサービスを利用する際に得られる体験全体を指します。
UXは単なる使いやすさだけでなく、感情的な満足感や価値提供も含まれ、UXを向上させることによってユーザーの満足度を高めることができます。
例としてWebサイトのUXを挙げると以下のようなものがあります。

  • サイトが直感的に使いやすい
  • 視覚的にわかりやすく、視認性が高い
  • ユーザーニーズに対応したコンテンツ
  • フォームやボタンなど一方通行な価値提供ではなく相互作用がある
  • サイトの速度が速く、快適
  • 視覚障害や聴覚障害をお持ちの方でも使いやすい

UIとの違い

UXとUI(ユーザーインターフェース)は密接に関連していますが、それぞれ大きく異なります。
UIは製品やサービスの視覚的な要素で、たとえばボタンやアイコン、ナビゲーションメニューなどの設計を指します。

一方で、UXとはユーザがUIを通じて得る全体的な体験を指します。UIが優れていると、UXも向上する可能性がありますが、UIだけがよくてもユーザーの体験全体が必ずしも優れたものになるとは限りません。

例を挙げると、綺麗なデザインのWebサイトであっても、ナビゲーションが悪かったりサイトの速度が遅いとUXは悪化します。サイトの見た目だけではなくコンテンツを充実させることで、UXの向上につながります。

ユーザービリティとの違い

ユーザビリティとは、製品やサービスの使いやすさを指す概念です。
ユーザビリティが高いと、ユーザーは簡単に操作を理解し、ストレスなく利用できます。ただし、UXはそれ以上に広範な概念で、使いやすさだけでなく、感情的な満足感やブランドイメージなども含みます。したがって、ユーザビリティが高くても、全体的なUXが必ずしも優れているとは限りません。

UXが重要視されている背景

UXが重要視される背景には、テクノロジーの発展や市場環境の変化などにより、企業はより優れたユーザー体験を提供することが求められているからです。
以下に、具体的な背景を挙げます。

UXが重要視されている背景

  • スマートフォンなどデバイスの多様化
  • ECサイトの普及
  • 競争激化による差別化の需要拡大

順に解説していきます。

スマートフォンなどデバイスの多様化

スマートフォンやタブレットなど、多様なデバイスが普及することで、ユーザーはいつでもどこでもアプリやWebサービスにアクセスできるようになりました。

このようなデバイスの多様化により、ユーザー体験の一貫性が重要視されるようになりました。異なるデバイスであっても、スムーズな操作感や見やすいデザインが求められ、企業は各デバイスに最適化されたUXを提供する必要があります。

ECサイトの普及

ECサイトの普及により、オンラインショッピングが一般化しました。そのため、ユーザーは簡単に比較検討し、もっとも使いやすいサイトを選ぶようになっています。

使いやすさやスムーズな購入プロセスを提供することで、競合との差別化を図ることができます。また、良質なUXを提供するECサイトはユーザーのリピートや口コミによる新規顧客獲得にもつながるでしょう。

競争激化による差別化の需要拡大

市場の競争が激化するなかで、製品やサービスの差別化が重要となっています。単に品質や価格で競うだけでなく、ユーザーにとって魅力的な体験を提供することが求められています。

UXは、顧客満足度を高めるだけでなく、ブランドの信頼性を向上させ、付加価値にもなるため、他社との差別化にも寄与します。

UXを向上させる方法

UXを向上させるためには、現状の把握や目標設定、ユーザー分析、効果検証などが必要です。以下に具体的な方法を解説していきます。

UXの現状を把握する

UXの現状を把握することは、改善策を効果的に立てるために重要です。現状を理解しなければ、ユーザーの不満点や改善すべきポイントが明確にならず、的外れな施策を打ち出す可能性があります。

具体的には、ユーザーテストやアンケート調査、アクセス解析ツールを使用して、ユーザーが製品やサービスをどのように利用しているかを詳細に分析し、ユーザーの行動パターンや現状課題を把握します。

注意点として、データの収集と分析において偏りを避けるため、多様なユーザーグループからフィードバックを得ることが重要です。また、定期的に現状を再評価することで、継続的にPDCAサイクルを回すことができます。

UXのゴール・目標を明確にする

UXのゴールや目標を明確にすることは、改善活動を効果的に進めることに寄与します。ゴールや目標が設定されていない場合、どの改善策が効果的であるかを評価する基準が曖昧になり、取り組みが散漫になることが多いです。

たとえば、「ユーザーの操作時間を20%短縮する」「購買プロセスを3ステップに簡略化する」といった具体的で測定可能な目標を設定することが重要です。

これにより、チーム全体が共通の方向性を持ち、効果的な施策を実施できます。注意点は、目標は現実的かつ達成可能であることが大切です。また、目標達成度を定期的に評価し、必要に応じて調整する必要もあります。

ユーザー分析し改善策を立てる

ユーザー分析をおこない改善策を立てる際には、ユーザーのニーズと現在提供しているサービスとのギャップを埋めることが重要です。

具体的には、ユーザーインタビューやフィードバック収集、行動データの分析を通じて、ユーザーが求める体験と現状のサービスとのズレを明確にします。改善策の例としては、Webサイトの表示速度を向上させるためにCDNを活用したり、画像が多いサイトでは画像最適化をおこなったりすることなどが挙げられます。

また、目標設定と同様に、改善も一度だけではなく継続的に実施して、その都度効果を評価しながら調整することが重要です。

WebサイトのUX改善策として、CDNの活用や画像の最適化が着手しやすくおすすめです。さくらインターネットでは、CDNとしてはウェブアクセラレータを、画像最適化のサービスとしてはImageFluxを提供しています。Webサイトの担当者が使いやすい設計になっているため、これからUX改善に取り組む際は参考にするとよいでしょう。

効果を検証する

改善策を講じた後は、必ずその効果を検証する必要があります。検証をおこなわなければ、改善策が実際に有効であったかどうかを判断できず、無駄なリソースを費やしてしまう可能性があります。

具体的には、改善前後のユーザー行動データを比較し、目標に対する進捗を測定します。ユーザーテストを再実施したり、アクセス解析ツールでユーザーの行動を追跡したりするとよいでしょう。

検証は、次の改善策を立案する際の貴重なフィードバックとなり、継続的なUX向上を支えるうえで役立ちます。

UXの向上に成功した事例

UX向上に成功した事例は数多く存在しますが、とくに注目すべきはメルカリと資生堂のケースです。メルカリが提供するフリマアプリは多くのユーザーに利用されており、その成功の背後には綿密なUX改善があります。

当初、メルカリでは画像配信コストが高いことや、アプリのUIやデザイン変更に合わせた最適な画像配信が難しいという課題がありました。この問題を解決するために、さくらインターネットのImageFluxを活用して画像の変換などをおこなったことで、UX向上を実現しました。

また、資生堂のオンラインストアでも、UX改善が顧客満足度の向上に大きく寄与しました。資生堂では、商品の魅力を最大限に伝えるために、高解像度な画像で情報を提供していましたが、画像の読み込みに時間がかかるなどの課題がありました。

そこで、画像表示の高速化をおこない、表示速度が14.7秒から3.0秒に改善したことでUXの向上を実現しました。

【参考】
メルカリではCDNの裏側にImageFluxを配置し、配信コストの削減と、快適なアプリを実現
「ワタシプラス」の画像表示を大幅に高速化。作業負荷を増やすことなく簡単に実現

まとめ

UXは、ユーザーが製品やサービスを利用する際の体験全体を指し、その向上は事業の拡大・成功に直結するといっても過言ではありません。
UIやユーザビリティとの違いを理解し、現状の把握や目標設定、ユーザー分析、効果検証を通じて、継続的な改善をおこなうことが重要です。

本記事で紹介した具体的な事例を参考にUX向上に取り組み、事業のさらなる成長を推進していきましょう。

画像変換・配信エンジンImageFluxのご紹介

ImageFluxは、画像処理とキャッシュ配信を一気通貫で提供するクラウドサービスです。高速かつ安定した画像配信を実現し、UXを向上させるためのツールとして多くの企業に導入されています。

とくにECサイトやメディアサイトにおいては、ページの表示速度や画像の品質がUXに大きな影響を与えるため、ImageFluxの活用は効果的です。

メルカリや資生堂などの事例でも、ImageFluxの導入により大幅なUX向上を実現しています。UX向上施策をお考えの方は、ぜひImageFluxの導入をご検討ください。

構成・執筆・編集

ImageFluxチーム

さくらインターネットとピクシブで共同開発・提供している、クラウド画像変換サービス・ライブ配信エンジンサービス「ImageFlux」のチームです。

2024年9月公開