ライブ配信とは?オンデマンド配信との違い、メリットや活用事例をご紹介
ライブ配信は、リアルタイムに映像や音声を配信することで、視聴者とのコミュニケーションを活発化させたり、臨場感のあるコンテンツを届けたりできる手段です。
本記事では、企業のマーケティングや情報発信にライブ配信を活用したい方に向けて、ライブ配信の基本的な知識から活用事例、選び方のポイントまでを詳しく解説します。
ライブ配信とは
ライブ配信とは撮影した映像をリアルタイムでストリーミングサーバーへ送ることで、サーバーへアクセスしたユーザーが、その場の様子をリアルタイムで見られるようにする配信手法のことを指します。
テレビの生放送に近い仕組みで、スマートフォンやアプリを使って手軽に始められるため、ビジネスから個人利用まで幅広く活用されています。
リアルタイムでの配信は視聴者との一体感を生み出せるため、自宅で過ごす時間が増えたコロナ禍においてライブ配信の需要がますます高まりました。アフターコロナにおいても動画配信の習慣が定着し、今後もさまざまな場面で活用が進んでいくことが予想される注目のコンテンツ配信方法だといえるでしょう。
ライブ配信のメリット
ライブ配信のメリットには、以下の点があります。
- リアルタイムで映像を共有できるため、臨場感や一体感を味わえる
- 配信者と視聴者の双方向のコミュニケーションが可能
- スマートフォンやアプリを使って手軽に始められる
- オンデマンド配信にはない体験価値を提供できる
ライブ配信は、リアルタイムでしか体験できない面白さがあり、まるでその場にいるかのような雰囲気を味わえます。
また、配信者が呼びかけたり、視聴者がコメントやスタンプで反応したりと、双方向のコミュニケーションが楽しめるのがライブ配信ならではの魅力です。
そして、リアルタイム配信のため動画編集が不要で、コストも比較的安価です。配信者も視聴者も気軽に参加しやすく、あとから視聴するオンデマンド配信とは異なる、ライブ配信ならではの臨場感があります。
ライブ配信のデメリット
デメリットとしては、以下の点があります。
- リアルタイム配信特有のトラブルが起こりやすい
- 編集ができないため、巻き戻しや早送りができない
- 視聴を逃した人へのフォローが必要
機材の不調で映像が途切れたり、音声が聞こえづらくなったりと、技術的なトラブルが起こるリスクがあり、最悪の場合は配信を中止せざるを得なくなります。
撮影した映像をそのまま配信するため、コンテンツの編集や加工には向いていません。スムーズな配信を心がける入念な準備が必要です。
また、リアルタイム視聴できなかった人への対応として、アーカイブ配信を検討する必要があります。タイムシフト視聴を見据えたコンテンツ設計が必要です。
オンデマンド配信とは
オンデマンド配信とは、あらかじめ収録・編集した動画コンテンツをサーバーにアップロードし、視聴者が好きなタイミングでアクセスして視聴できる配信方法のことを指します。ライブ配信のようにリアルタイム性はありませんが、時間や場所を選ばずにコンテンツを視聴できるのが大きな特徴です。
YouTubeに代表されるように、一般的にオンデマンド型の動画配信サービスが主流となっています。ライブ配信とオンデマンド配信はそれぞれ異なる特性を持っているため、コンテンツや視聴者のニーズに合わせて使い分けることが重要です。
オンデマンド配信のメリット
オンデマンド配信には、以下のようなメリットがあります。
- 好きな時間に視聴できる
- 機材トラブルで中断することが少ない
- 24時間/365日配信できる
- 高品質につくり込んだコンテンツを配信できる
オンデマンド配信では、自分の都合に合わせて視聴できるため、忙しい現代人のライフスタイルにマッチしています。通勤時間や休憩時間など、ちょっとした空き時間を有効活用できるのも魅力です。
映画やドラマ、アニメなど多彩なコンテンツもラインナップしています。レンタルビデオ店に行かなくても、自宅で最新作を楽しめるのは大きな利点です。
また、スマートフォンやタブレット、パソコン、テレビなど、さまざまなデバイスでオンデマンド配信を視聴でき、レンタル料や延滞料を気にせず、定額で利用できる点が魅力といえるでしょう。
オンデマンド配信のデメリット
一方で、オンデマンド配信にはデメリットもあります。
- 編集に手間がかかる
- コミュニケーションが双方向ではない
- いつでも見られるので視聴が後回しになりがち
オンデマンド配信では高品質なコンテンツの提供が期待されるため、細かい編集作業が必要になります。これには動画のカットやトリミングが含まれ、準備には相応の時間が必要です。
オンデマンド配信では、配信者と視聴者間の直接的なコミュニケーションが行えないため、ロールプレイングやディスカッションが必要な研修などには適していません。このような双方向のやり取りを必要とするシナリオでは、リアルタイムでのコミュニケーションが可能なライブ配信が適切です。
いつでも見られることで、視聴が後回しになってしまう原因となることもあります。視聴者は配信を任意の時間に見ることができるため、緊急性が低く感じられ、ほかの優先事項に押しのけられがちです。その結果、必要な情報が適時に消化されない場合があります。
ライブ配信の課題
リアルタイムに映像や音声を配信できるライブ配信ですが、運用やシステム面でのさまざまな課題があることも認識しておく必要があります。
まず機材の故障や通信環境の影響を大きく受けやすく、トラブルが発生するリスクが高いのがライブ配信の難しさです。また映像のエンコードや配信の安定化など、ライブ配信に必要な特別な技術や知識を持ったエンジニアが必要不可欠となります。
さらにライブ配信の視聴にはユーザー側にも専用のソフトウェアが求められるケースがあり、手軽に視聴できないプロトコルも存在します。遅延の発生によってリアルタイム性が損なわれるリスクもあるでしょう。
加えて、YouTubeなどの既存ライブ配信サービスを利用する場合、収益化や商用利用に一定の制限がかかるなどの課題もあります。ライブ配信にはこうした技術的・運用的な課題が山積しているのが実情だといえます。
ImageFlux Live Streamingのご紹介
高品質なライブ配信を手軽に構築できるサービスとして、ImageFlux Live Streamingをご紹介します。
ImageFlux Live Streamingとは、お客さま独自のライブ配信システムを、API/SDKを利用して素早く手軽に構築できるマネージドサービスです。配信基盤としてWebRTC SFU Soraを採用しており、WebRTCからHLSまで幅広い配信方式に対応しています。つくりたい配信サービスに適したAPIを使って、高速に開発を進めることが可能です。
以下のような特徴があります。
ブラウザから手軽に配信できる
配信基盤にはWebRTCを用いているため、配信・視聴ともに特別なソフトウェアやプレイヤーは不要です。ブラウザから手軽に配信できるため、パソコンやタブレット、スマートフォン等の端末を用いてさまざまなユースケースを実現できます。
低遅延かつ双方向配信や大規模配信も可能
WebRTC配信であれば0.5秒程度の遅延で双方向や片方向配信ができます。また、HLS配信であれば5秒程度で数万人規模の大規模配信が可能です。遅延を最小限に抑え、インタラクティブなコミュニケーションを実現できます。
ストリーミングサーバーの構築や運用は不要
配信に必要なサーバーの準備や運用は不要です。サービスのスケーリングや急なアクセス増に悩むこともありません。
運用保守に必要な人員の確保も不要で、コスト削減につながります。
商用利用も可能
既存のプラットフォームを利用する場合は収益化や商用利用に一定の制限がかかりますが、ImageFluxは商用の利用の制限はないためさまざまな用途にご利用いただけます。また、柔軟な料金体系でミニマムスタートの実現が可能です。
システム開発から請け負うことも可能です。詳細は下記をご確認ください。
ライブ配信の活用事例
ここからは、ライブ配信の代表的な活用シーンを見ていきます。ライブコマース、ファンと交流、イベント配信など、ライブ配信ならではのメリットを活かせる事例が数多くあります。
ライブコマース
ライブコマースとは、ライブ配信のなかで商品を紹介し、視聴者にリアルタイムで購入してもらうというライブ配信の新しい活用方法です。アパレルや美容商品など、ライブならではの臨場感を活かした商品訴求が可能です。中国のECサイト「Taobao(タオバオ)」では、すでに定番のマーケティング施策として定着しています。
日本でもユニクロの「UNIQLO LIVE STATION」など、ファッションECでのライブコマースが本格化しつつあります。商品をより魅力的に見せるための演出や、視聴者の反応を踏まえた臨機応変な進行がライブコマースの成功のカギとなるでしょう。
ファンと交流(投げ銭含む)
アーティストやタレントなど、ファンを抱えるパーソナリティにとって、ライブ配信はファンとの交流を図る重要な接点となります。InstagramのライブやSHOWROOM、17Liveなどを活用することで、ファンに向けたメッセージ発信だけでなく、コメントを通じた双方向のコミュニケーションも可能です。
なかでも「投げ銭」と呼ばれる、視聴者からの投げ銭によるファン活動の支援は、ライブ配信ならではの取り組みだといえます。ライブ配信をマネタイズにつなげるための施策としても注目されています。
イベント配信
展示会やスポーツイベント、ファッションショーなど、オフラインで開催されるイベントをライブ配信で中継するケースも増えてきました。コロナ禍により直接会場に足を運べないユーザーに向けて、ライブ配信で体験を届けることができます。
イベントのライブ配信では、コンテンツ内容や目的に合わせて、YouTube LiveやX(旧Twitter)、インスタライブなど適切なプラットフォームを選択することが重要です。パブリックビューイングのように視聴チケットを販売することで、新たな収益化の手段としても期待できるでしょう。
勉強会や社内イベントなど
ビジネスシーンにおいても、ライブ配信の活用が広がっています。勉強会やセミナー、講演会など、リアルタイムでの情報共有が求められる場面では、Zoomなどのウェビナー形式でのライブ配信が効果的です。社内イベントや朝礼なども、ライブ配信を活用することで拠点を越えたコミュニケーション促進につながるでしょう。
ライブ配信は場所の制約がないため、スピーカーや参加者の移動コストを大幅に削減できるメリットがあります。一方で資料共有や参加者の反応の可視化など、運営面での工夫も必要不可欠です。
オンライン株主総会
近年では、株主総会のオンライン化の動きが加速しています。会場での開催とライブ配信を組み合わせたハイブリッド型バーチャル株主総会の導入企業が増えつつあります。コロナ禍における移動制限だけでなく、遠方の株主など幅広い株主の参加を可能にするメリットがあるためです。
オンライン株主総会では、株主認証機能を備えたプラットフォームの選定が重要となります。議決権行使の仕組みや質疑応答の方法など、リアルの株主総会に劣らない運営オペレーションの設計が求められます。
オンライン診療
医療分野でもライブ配信の活用が広がりを見せています。オンライン診療は、医師と患者をビデオチャットでつなぐことで、直接の対面診療と同等のコミュニケーションを実現します。新型コロナの感染予防だけでなく、遠隔地の患者や移動が困難な患者にとって利便性の高いサービスだといえるでしょう。
オンライン診療にはZoomなどのビデオ通話システムの導入に加えて、予約管理システムとの連携やカルテデータの取り扱いなど、医療関連の各種システムとの統合が重要となります。セキュリティ対策を施した専用のプラットフォーム選定が望ましいでしょう。
まとめ
ライブ配信は、リアルタイム性と双方向性を武器に、オンデマンド動画配信とは異なる価値を提供できるツールです。一方でシステムの構築や安定稼働など、乗り越えるべき課題も数多く存在します。
本記事で紹介したように、ライブコマースやイベント配信、ビジネスシーンでの活用など、ライブ配信の活用シーンは多岐にわたります。自社のコンテンツ特性やユーザー属性を踏まえたうえで、ライブ配信の特性を活かせる場面を見極めることが重要だといえるでしょう。
ライブ配信ならではの臨場感や一体感は、これからのデジタルコミュニケーションに欠かせない要素となることが予想されます。
技術的な課題をクリアしつつ、視聴者にとって価値のある体験を届けられるよう、ライブ配信の設計と運用に取り組むことが求められます。視聴ニーズの変化や他社の動向をしっかりとキャッチしながら、自社に合ったベストな活用方法を追求していくことが重要だといえるでしょう。
ImageFluxチーム
さくらインターネットとピクシブで共同開発・提供している、クラウド画像変換サービス・ライブ配信エンジンサービス「ImageFlux」のチームです。