WebサイトのSEOにおいて、テキストの最適化が広く知られていますが、画像の最適化も同様に重要です。画像検索からの流入を獲得するには、検索エンジンが画像を適切に認識するように対策する必要があります。また、画像の最適化は表示速度やコアウェブバイタルの改善にも直結し、SEO効果だけでなくUX向上の観点からも有効な施策となります。
本記事では、画像SEOの基本から実装方法、継続的な運用に必要な技術的基盤まで解説し、検索流入の拡大と表示速度改善を同時に実現する方法をご紹介します。

➡︎【資料ダウンロード】画像最適化・配信サービス ImageFlux サービス紹介資料

画像SEOとは

画像SEOの基本概念を理解するために、まずは定義から確認していきましょう。テキストSEOとの違いや検索エンジンが画像を認識する仕組みについても解説します。

画像SEOの定義

画像SEOとは、Googleなどの検索エンジンが画像を適切に認識できるよう対策することです。

画像は、商品の外観やサービスの特徴を視覚的に表現することで、テキストよりもユーザーが直感的に理解しやすい情報を伝えることができる要素です。このような画像の特徴をGoogleも評価しており、最適化された画像を価値あるコンテンツとみなします。そのため、テキストと同様に画像の最適化もWebサイトのSEOにおいて不可欠な要素です。

テキストSEOとの違い

テキストSEOが文字情報を中心としたコンテンツ最適化であるのに対し、画像SEOは視覚的コンテンツの最適化に焦点を当てます。しかし、両者は対立する概念ではなく、相互に補完し合う関係にあります。

テキストSEOの特徴

  • キーワードの適切な配置と密度調整
  • 見出し構造の最適化
  • 内部リンクの戦略的設置

画像SEOの特徴

  • alt属性やファイル名での意味づけ
  • 画像サイズと表示速度の最適化
  • 視覚的な情報価値の提供

大切なのは、画像とテキストが一体となってユーザーに情報を提供することです。たとえば、技術解説記事において、テキストで説明した内容を図解で補完することで、より理解しやすいコンテンツとなり、結果的にSEO評価の向上につながります。

検索エンジンが画像を適切に認識する仕組み

近年、Googleは画像認識AIの技術向上により、画像そのものの視覚的内容をある程度識別できるようになってきています。しかし、依然としてalt属性や周辺テキストなどの「文脈情報」は画像の内容を正確に理解するために重要な役割を果たしています。

検索エンジンは、以下の文脈情報を組み合わせて画像の内容を判断していると考えられています。

  1. alt属性:画像の代替テキストとして、画像内容を文字で説明
  2. ファイル名:画像の内容を表すわかりやすい名前
  3. 周辺テキスト:画像の前後にある関連する文章
  4. ページコンテキスト:画像が掲載されているページの全体的な内容

画像認識技術が進歩した現在でも、これらの文脈情報を技術的に正しく実装することが、検索エンジンに画像を適切に認識させるために必要です。

画像SEOが重要な理由

画像SEOは、Webサイトのパフォーマンスに大きな影響を与える要素です。その重要性を具体的な効果とともに見ていきましょう。

検索流入拡大

画像SEOを実施することで、Googleなどの画像検索でサイト内の画像が表示されやすくなり、テキスト検索とは異なる流入経路としてアクセス数の増加が見込めます。とくに、商品画像や説明図のような視覚的に訴求力のあるコンテンツは、ユーザーの検索ニーズとマッチしやすく、画像検索からの流入獲得に効果的です。

テキスト検索では見つけられにくいコンテンツも画像を通じて発見されやすくなり、Webサイトへの検索流入拡大につながります。

画像SEOによるコアウェブバイタル改善とUX向上

コアウェブバイタル(Core Web Vitals)は、Googleがユーザー体験を測定するために定めた3つの重要な指標で、2021年からGoogleの検索ランキング要因として正式に組み込まれています。この3つの指標を改善することで、検索順位の向上が期待できます。

とくに、指標の1つであるLCP(Largest Contentful Paint)は、Webサイトの画像が対象要素となることが多いため、画像SEOによる改善効果が大きく期待できます。

画像SEOで改善できるコアウェブバイタル指標

  • LCP(Largest Contentful Paint):ページの主要コンテンツが表示されるまでの時間
  • CLS(Cumulative Layout Shift):ページ読み込み中のレイアウトのずれをスコア化した値
  • INP(Interaction to Next Paint):ユーザーの操作に対する応答時間

LCP改善によるUX向上効果

画像SEOによってLCPが改善されることで、以下のようなUX向上効果が期待できます。

  • 直帰率の低下:表示速度の改善により、ユーザーがページを離れる前にコンテンツを閲覧できるため、離脱率が低下します
  • 滞在時間の増加:高速表示により、ユーザーがサイト内を快適に回遊できるようになり、滞在時間の増加につながります
  • モバイルユーザビリティの向上:通信速度が不安定なモバイル環境でも快適に閲覧でき、モバイルユーザーの満足度が改善します

このようにLCP改善は、ユーザーにとって使いやすいWebサイトを実現につながり、検索エンジンからも評価向上にも貢献します。

PageSpeed Insightsで画像SEO効果を測定する指標

PageSpeed Insights はGoogleが提供する無料ツールです。Webページの表示速度を測定し、画像最適化を含むさまざまなパフォーマンス改善項目を確認できます。画像SEOについても、まずはこのツールで現在の状況を把握し、改善点を特定することから進めるとよいでしょう。

測定可能な指標

  • パフォーマンススコア:画像最適化による総合的な速度改善状況
  • コアウェブバイタル:LCP、CLS、INPの具体的な数値とスコア
  • 改善の機会:画像関連の具体的な改善項目と効果予測値
  • 診断結果:画像配信に関する問題点と改善優先度

これらの指標を定期的に測定することで、画像SEOがWebサイトのパフォーマンスとSEO評価向上にどの程度貢献しているかを客観的に把握できます。

PageSpeed Insightsの使い方や改善方法について、くわしくはこちらのコラムをご確認ください。

PageSpeed Insights(ページスピードインサイト)を使った表示速度の改善方法

また、さくらインターネットが提供するクラウド型の画像変換・キャッシュ配信サービス「ImageFlux」を活用してPageSpeed Insightsのスコアを大幅に改善した事例もぜひご参考ください。

画像SEOの具体的施策とポイント

画像SEOにはさまざまなアプローチがあり、それぞれ異なる効果をもたらします。ここでは、実際に取り入れやすい主要な手法についてくわしく解説していきます。

ファイル名、alt属性、キャプション

画像SEOの必須要素は、ファイル名、alt属性、キャプションの3つの設定です。これらの文脈情報を戦略的に整えることで、検索エンジンが画像の内容を正しく理解しやすくなるため、画像検索での上位表示が期待できます。

適切なファイル名の設定

ファイル名は、検索エンジンが画像内容を理解するための手がかりとなります。たとえば、「IMG_001.jpg」のような連番ファイル名では画像の内容がまったく伝わりません。そのため、「laptop-computer-programming-setup.jpg」のように内容を具体的に表現したファイル名に変更しましょう。

ファイル名設定のポイント

  • 内容を具体的に表現する(例:laptop-computer-programming-setup.jpg)
  • ハイフンで単語を区切る(アンダースコアは推奨されません)
  • 英数字と日本語の混在を避ける
  • 連番やランダムな文字列は使用しない

alt属性の効果的な書き方

alt属性は、画像が表示されない場合の代替テキストとして機能し、視覚障害者向けの音声読み上げソフトにおいても情報を提供するための要素です。alt属性の書き方は、たとえばサーバー監視画面の画像であれば「CPUとメモリ使用率を表示するサーバー監視ダッシュボード画面」のように、画像の内容を具体的かつ簡潔に説明するのが一般的です。

alt属性作成のポイント

  • 画像の内容を具体的かつ簡潔に説明する(100文字以内推奨)
  • キーワードの不自然な詰め込みは避ける
  • 装飾的な画像には空のalt属性(alt="")を設定する
  • 周辺テキストと重複しない独自の情報を提供する

キャプションの効果的な書き方

キャプションは、画像の下に表示される説明文で、検索エンジンが画像の内容を理解するための情報源となります。たとえば、チーム会議の写真であれば「新プロジェクトについて議論する開発チームメンバー」のように、画像の背景や状況を説明することで、alt属性とは異なる角度から画像の価値を伝えることができます。

キャプション作成のポイント

  • 画像の背景や状況をわかりやすく説明する
  • alt属性とは違った視点で画像の価値を伝える
  • 関連するキーワードを自然に含める
  • 読者にとって有益な補足情報を提供する

画像サイズ圧縮と軽量化

画像ファイルのサイズが大きいと表示速度が遅くなり、SEO評価の低下につながります。適切な圧縮と軽量化により、画質を保ちながらファイルサイズを削減することで、検索エンジンからの評価向上が期待できます。

適切な圧縮レベルの設定

画像圧縮は、視覚品質とファイルサイズのバランスが重要です。おもに写真に用いられるJPEG画像では、品質80~85%程度の非可逆圧縮をおこなうことで、視覚的な劣化をほとんど感じさせずにファイルサイズを大幅に削減できます。一方、ボタンやイラストなどのPNG画像では、可逆圧縮ツールを使用することで画質をほとんど損なうことなく最適化が可能です。適切な方法で圧縮することで、画質を保ちながら表示速度を改善し、SEO効果を高めることができます。

レスポンシブ画像の実装

レスポンシブ画像とは、デバイスの画面サイズに応じて画像を自動配信する技術です。HTMLのsrcset属性やsizes属性を使用することで、ブラウザが自動的に最適な画像を選択して表示します。

たとえば、スマートフォン(画面幅480px)に対して1200pxの画像を配信すると、無駄なデータ転送が発生し、表示速度の低下につながります。レスポンシブ画像を実装することで、スマートフォンには480px、タブレットには768px、デスクトップには1200pxといったように、各デバイスに最適化された画像が自動的に選択されます。

これにより、モバイル環境では軽量で高速な表示を実現しつつ、デスクトップでは高品質な画像によってユーザー体験を向上させることが可能です。

次世代フォーマット(WebP)活用

次世代画像フォーマットとは、従来のJPEGやPNGよりも高い圧縮効率を実現する新しい画像形式のことです。なかでもGoogleが開発したフォーマット「WebP」は、主要なブラウザで広くサポートされています。

WebPのメリット

WebPはJPEGと比較してファイルサイズを25~35%削減できるほか、PNGと同様に透明度(アルファチャンネル)にも対応しています。

同じファイルサイズであればより高画質に、同じ画質であればより軽量に配信できるのがWebPの特徴です。Chrome、Firefox、Safari、Edgeなどの主要ブラウザに対応しているため、多くのユーザーに軽量な画像を提供することが可能です。

WebPの概要や変換方法については、こちらのコラムをご確認ください。

画像最適化とCDN活用の重要性

これまで説明してきた画像最適化を継続的に実施するには、多くの課題があります。ここでは、効率的な画像SEOを実現するための技術的基盤について解説します。

手動最適化の限界と運用負荷

手動で画像最適化をおこなっている企業の多くで、以下のような課題が発生しています。

運用負荷の増大

  • デザイナーやエンジニアが画像圧縮作業に時間を費やす
  • デバイス別画像の作成・管理が煩雑になる
  • 新しいフォーマット(WebP)への対応が後回しになる

転送量の増加によるコスト圧迫

  • 複数サイズ、高解像度画像を保存することで、ストレージ使用量が逼迫し、利用料金のコストが増加する
  • 最適化されていない画像の配信により、CDNやクラウドなどの転送量課金サービスのコストやトラフィックが増加する

品質の一貫性問題

  • 担当者によって圧縮設定が異なる
  • 最適化ルールが属人化する
  • 新しい最適化手法の導入が遅れる

このように手動での画像SEOには限界があるため、効率的な画像配信システムの導入が重要になります。

CDN活用による表示速度改善とSEO効果

CDN(Content Delivery Network)とは、各地に分散配置されたサーバーネットワークを活用し、ユーザーにより近い場所からコンテンツを高速配信するシステムです。とくに画像に特化したCDN(画像CDN)では、リアルタイムでの画像リサイズやフォーマット変換機能により、ユーザーのデバイスや回線状況に最適化された画像を自動配信できます。CDNを活用することで、以下のような改善効果が見込めます。

表示速度の改善

CDNを活用することで、Webサイトの画像表示を高速化できます。分散配置されたキャッシュサーバーにより、画像はオリジンサーバーにアクセスせずとも高速に配信され、表示速度を大幅に改善できます。また、画像CDNでは、端末サイズに応じた動的リサイズや、WebPなどのフォーマット変換といった画像最適化が可能なため、低速回線でも軽量化された画像を高速配信できます。

UX改善効果

画像CDNによる最適化は、ユーザー体験(UX)の向上にも大きく寄与します。デバイスの画面サイズや解像度に応じて動的にリサイズするため、スマートフォンには最適なサイズの軽量な画像を、高解像度ディスプレイには高品質な画像を配信できます。レイアウトの崩れの防止やページの視認性が向上し、コアウェブバイタルの改善を通じてSEO効果の向上にもつながります。

まとめ

画像SEOはWebサイト運営において欠かせない施策です。検索エンジンに画像を正しく認識してもらうためには、ファイル名、alt属性、キャプションを適切に設定する必要があります。さらに、画像サイズの圧縮や次世代フォーマット(WebPなど)の活用により表示速度を改善することで、画像検索からの流入拡大やSEO順位向上につなげることができます。

しかし、手動での画像最適化には、運用負荷の増大や転送量の増加によるコスト圧迫といった課題がつきまといます。

これらの課題に対し、ImageFluxは効果的な解決策を提供します。ImageFluxは、オリジナル画像をもとにデバイスに最適化された画像を簡単に生成できる、クラウド型の画像変換・キャッシュ配信サービスです。画像変換・最適化とキャッシュ・配信までを一括自動化できるため、画像変換にかかる工数を省力化。さらに、表示速度の改善を通じてSEO効果が期待できるだけでなく、UXの向上にもつながります。

画像SEOの効果を最大化するには、基本施策の徹底と効率的な運用システムの構築が重要です。今回ご紹介した内容を参考に、自社サイトの画像SEO強化と、CDNを活用した表示速度・UX改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。

構成・執筆・編集

ImageFluxチーム

さくらインターネットとピクシブで共同開発・提供している、クラウド画像変換サービス・ライブ配信エンジンサービス「ImageFlux」のチームです。

最終更新日 : | 公開日 :

まずは体験してください。
すべての機能をお試しいただけます。

※サービスの詳細・お申し込みは、各サービスページをご確認ください。