導入事例

ICTとロボットをフル活用:鹿島スマート生産®

鹿島建設では、先端ICTと各種ロボットの活用でより魅力的な建築生産プロセスを目指す「鹿島スマート生産®」を推進中です。「作業の半分はロボットと」、「管理の半分は遠隔で」、「全てのプロセスをデジタルに」をコアコンセプトに掲げ、ICTやロボットをフル活用して生産性を向上させることで、現場の労務負荷軽減を図り、ひいては業界全体が抱える少子高齢化による就業者数の減少への対応と働き方改革の実現に貢献することをミッションとしています。
なお、鹿島建設は、さくらインターネットの石狩データセンター3号棟の増築も手がけています。

CFT工事における労務負荷の課題

鹿島建設技術研究所
先端・メカトロニクスグループ
主席研究員
岡 尚人 氏

CFT構造(Concrete Filled steel Tube)とは、鋼管柱の中にコンクリートを充填する構法です。この構法は、主に高層ビルなどに採用されています。CFT構造は施工管理が特に重要で、きちんとコンクリートが充填されていることを確認するために、鋼管柱内に有線カメラを入れて、リアルタイムかつ継続的にチェックしています。施工する上層階と下層階にそれぞれ担当者を配置して、コミュニケーションを取りながら作業する必要があるため、それぞれの階に映像のモニタを設置しますが、有線カメラと各モニタを繫ぐため、施工の前日に100メートル程の有線ケーブルを配線する必要がありました。また、施工後にはSDカードに録画された施工状況映像を長時間かけてサーバーにアップロードする必要もあり、施工担当者の業務負荷軽減が課題でした。

さらに、施工の際には専門知識を有する技術者が現場で立ち会い、施工状況を管理する必要があります。近年、CFT構造を採用する建物が増加しており、また、施工は長時間にわたることが多く、その間、技術者は現場から離れることができないため、技術者にかかる業務負荷の軽減も課題でした。

CFT遠隔管理を可能にするため映像配信基盤の検討

鹿島建設技術研究所
先端・メカトロニクスグループ
副主任研究員
諸橋 俊大 氏

鹿島建設は、これらの課題を解決するために、映像配信技術を利用することを検討しました。「当初はスマートフォンで撮影し、一般的な遠隔会議ツールを利用することでモニタへの配線を無くすことも検討していましたが、既存ツールだと映像配信の遅延が度々発生し、カメラ映像をモニタするための画質もあらく、撮影した施工状況を品質記録として残していくのには不十分でした。また、CFT遠隔管理では使わない機能も多く、さらにバックアップの手間も省けないことから、別の手法を検討する必要がありました。」(諸橋氏)

求めていた機能は、シンプルなユーザーインターフェースで、誰でも簡単に使えるシステムでした。「低遅延でリアルタイムの映像配信ができるサービスを探した結果、さくらインターネットが提供する「ImageFlux Live Streaming※1」の導入事例を発見しました。ImageFluxを活用し、独自の映像配信システムを短期間で作り上げた事例は、求めている条件に合致していました。」

※1 ImageFlux Live Streamingとは
お客様独自のライブ配信システムをAPI/SDKを利用して素早く手軽に構築できるマネージドサービスです。HLSからWebRTCまで、幅広い配信方式に対応。低遅延通信を実現します。

「moni-as®」によるCFT柱コンクリート充填作業の遠隔管理イメージ

ImageFlux Live Streamingを導入し「moni-as®」を開発 0.5秒以下の低遅延通信

鹿島建設技術研究所
先端・メカトロニクスグループ
副主任研究員
土岐 亮太 氏

ImageFluxのトライアルを経て、さくらインターネットとImageFluxの開発パートナーである株式会社リリーが、システムの開発段階から入ることとなりました。「評価ポイントとしては3点あり、まず低遅延であることでした。コンクリート充填に異常がある場合、すぐに止めないといけないため1秒も惜しいというところで、低遅延で映像配信できることは評価が高かったです。つぎに、専用のユーザーインターフェースを作ることができた点です。一般的なツールには沢山の機能がありますが、現場では不要なものが多いため、必要な機能だけに絞りたかった。さらに、低コスト・短期間で開発ができたことも評価のポイントで、いちはやく現場で試せたことが大きかったです。」(諸橋氏)

「ImageFluxを採用した個人的な決め手としては、日本企業が提供するサービスを使いたいという想いと、さくらインターネットやリリーの皆さんが親身に相談にのっていただけたことです。安心して発注できました。」(諸橋氏)

鹿島建設は、ImageFluxを導入し、CFT工事の遠隔管理を実現するための専用アプリケーション「moni-as®(モニアス)」を開発しました。

「moni-as®」は、誰でも簡単に使用できるユーザーインターフェースを備え、0.5秒程度の低遅延でのリアルタイム映像配信を実現します。これにより、カメラの映像をモニタに映すための配線作業が一切不要となり、また、施工状況映像のクラウド上への録画も自動的に行われます。さらに、本社や支店などの現場以外からの技術者による管理も可能となり、課題であった施工担当者と技術者の労務が大幅に低減されました。

アプリケーションの開発には、開発パートナーである株式会社リリーが担当し、三社間でチャットツールのSlackを利用したスピーディーな連携・フォローによりプロジェクトが進行し、開発コストも抑えることができました。

今後の展開とさくらインターネットへの期待

「今後、CFT工事だけでなく、リアルタイム映像の確認や記録が求められる他の工事への適用を検討していきたいと考えています。また、さくらインターネットの国内サーバー会社としてのデータセキュリティの高さも評価しており、新しい技術の活用を検討していきたいと考えます。特に、GPUサーバーを用いたAIの活用など、将来的な技術にも期待を寄せています。」(諸橋氏)

「ImageFluxは開発の自由度が高く、でも1から作るわけでもなく、既に完成されたものでもない、開発チームにとって丁度いいサービスでした。また、特別な専門知識がなくても利用しやすい点が良かったです。短期間かつ、低コストで開発を実現できたため、同様の課題を抱える企業におすすめです。」(諸橋氏)

ライブ配信エンジン ImageFlux LiveStreaming サービス紹介資料

鹿島建設株式会社

事業内容

建築事業

設立

1930年

URL

https://www.kajima.co.jp/

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